八百九十八回目

・僕の彼女は嫉妬深いので、僕が別の女の匂いを漂わせるとすぐ不機嫌になる。
最初は「なんだこのめんどくさい女」と思って、彼女が嫌いになりそうだったのだが、最近そうでもなくなった。
というのも僕の彼女は基本的にものごとに寛容な方なのだが、俺が別の女の匂いを漂わせることにだけは不寛容なのだ。
ってことは僕は愛されているってことだよね、とポジティブに考えることにしたら、別に向こうが不機嫌になっても俺は不機嫌にならない。
僕が不機嫌にならなければ感情の対立は生じないし、それを説明して理解してもらえればそのうち彼女の機嫌も直るのだ(そもそも別に俺は浮気をしているわけではないのだ)。




・向こうの機嫌が悪くなった場合、関係メンテナンスのために電話をするのだが、意外と長電話になる。
機嫌を直してもらうためにはちゃんと聴いて(る雰囲気を醸し出して)フンフン頷いているのが一番。
機嫌が直ってくると、まぁ大体俺が一方的にしゃべることが多いのだが、意外とこれが有意義な時間だったりする。
というのも、文章を書くこともそうなのだが、普段頭の中でごちゃごちゃ考えていることってのは、話したり文章にしたりしないと整理されないので、喋っていると自分の頭の中の考えが整理されていって、有機的につながっていくのがとても面白い。
話の場合は録音しない限り残らないので、文章の方がより優れているけどね。
この間、知り合いのジャマイカ人のパーティーに行ったとき、ジャマイカンガールとイチャついている(風に見える)写真をFBにアップしたら、「イチャついてんじゃねーよ」と彼女が不機嫌になっていたので(むしろ不機嫌になってることにワロタ)、それに対する反論(弁解)を行っていた時に喋った話が我ながらナイスだった。
どんな話かと言うと、「価値観が合う」ことよりも「お互いが相手の価値観を理解して尊重しようという心を持っている」ことの方が重要、という話。
最近フランスで起きたテロ事件は、「表現の自由」と「イスラムのタブー(ムハンマドの偶像化)」というお互いの相容れない金科玉条が鮮明な対立状況を生み出してしまったが、それだって価値観が違うから起きてしまうのではなく、お互いの価値観を慮る気持ちがないから起きてしまうことなのだ。
しかも、政治はそういう対立を煽って、むしろ状況を悪化させたり、もともと自身がやろうとしていたことを正当化するために利用したりするから、そういうのに流されるのが一番恐ろしい結果を生むことになる。
現在のフランスの状況はまさにそんな印象を受ける。
この様に、違う価値観をお互いに理解できない状況が発生した時、重要な役割を果たすのは双方の立場を理解している人になる。
そういうパイプになれる人ってのは本当に貴重。
フランスのテロの件の場合、一番重要な役割を果たしうるのはフランスに溶け込んでいるイスラム教徒なんじゃないかな。
しかもそういう人たちは、どちらからも目の敵にされる危うい立場にあるからむしろ守ってあげなければいけないのだ。
そして、ジャマイカ人パーティーの件だって同じ。
日本とジャマイカは全く異文化なのに、わざわざ日本に来てくれて日本語ペラペラになって溶け込もうとしてくれるような人たちは本当に貴重なのだ。
だからそういう人たちと仲良くなるうえで、俺が向こうの価値観を尊重してハードめにスキンシップしたところで、それは褒められる行為ではあっても、非難される行為ではない!
そういうのを受け入れにくいのが君の価値観なら僕はそれを理解して尊重するから、君も俺の価値観を理解して尊重しようとしてみてくれ!
と、まぁこういうクソ屁理屈を滔々と語ることが多いんですが、こんな話をちゃんと聴いてくれて納得してくれる僕の彼女は、いい人かアホのどっちかなんだと思います。
おかげで僕の屁理屈説得能力が日々向上してる感じがして嬉しいです。




・しかし、何だかんだ俺も人間的には成長したな笑
独りで黒人の集まるパーティーとか行っても適当に仲良くなる術も身につけたし、女性の不機嫌をヒステリーにしないフンフンヒアリング&屁理屈説得能力も向上した気がする。
この2年(4年?)、ろくに仕事をしていないので、仕事の能力(特に専門知識系)は全く上がっていないと思うのだが、色々遊んだりしたおかげで、色々なことに対しての理解力や寛容性が増したせいか、人間関係をうまくやっていく能力は結構向上したように思う。
まぁ凄いやりたいことがあるんなら専門知識を身につけることも重要だけど、俺みたいに大してやりたいことも定まらないようなやつの場合、人間関係をうまくやって人生円滑に楽しく生きていける方が重要だよね。
なのでまぁこの2年間も完全に無為な時間を過ごしてしまったってわけでもないかな、とポジティブに考えることにしました。
最近割とポジティブですね。良いことだ!
今後もポジティブ思考を維持したいですね。